チェンソーマン第102話「セーブザキャット」
今回は大増ページということもあり、構成が普段よりも複雑になっています。
しかし、複雑であれどその構成が非常に美しいものとなっていたので今回、解説記事にしました!
この記事ではチェンソーマン第102話「セーブザキャット」の構成がどのように素晴らしいのかをお伝えしていきます。
セーブザキャットの対比構成
(引用:チェンソーマン/藤本タツキ)
第102話では主人公であるチェンソーマンとアサの二人が猫を助けています。
しかし迷いなく猫を助けたチェンソーマンと比較してアサには後悔が残っています。
まず、ここが今回一番大きな対比です。
猫を助けたことと結果は二人とも同じ
(引用:チェンソーマン/藤本タツキ)
実は、チェンソーマンとアサが行った行動と結果は同じです。
- 猫を悪魔から救った
- その結果、人が亡くなった
「猫を悪魔から救う」という選択をした結果、人が亡くなっています。
この構成から考えると、チェンソーマンとアサを対比させたいことが分かります。
トロッコ問題
チェンソーマンの場合
(引用:チェンソーマン/藤本タツキ)
さらに「トロッコ問題」も構成に含まれています。
1967年にフィリッパ・フットが提起したもの。
「ある人を救うために、他の人を犠牲にすることは許されるのか?」という倫理学の課題。
制御不能になったトロッコが走っている線路の先に5人の作業員がいる。意図的にルートを変更すれば5人の命は助かるが、代わりに変更されたルートの先の作業員が1人亡くなってしまう。ルートを変更することは正しいことか?というもの
今回の悪魔に問いかけられたトロッコ問題の本質は「何を選択しても間違いになる」「他人からの批判は避けられない」といったところです。
未来のある学生を救うと「なぜ5人の命を見捨てたのか?」と責められ、5人の命を救うと「なぜ未来ある若者の命を見捨てたのか?」と責められてしまうといった具合です。
ちなみにチェンソーマンはどちらの選ばず第三の選択肢として「猫」を選びました。
その選択は批判されることなく「お手柄」と報道されていますが、作中では代わりに犠牲になった人たちの描写(結果)がきっちり描かれています。
三鷹アサの場合
(引用:チェンソーマン/藤本タツキ)
三鷹アサの場合は、トロッコ問題として選択したわけではありませんが、結果として「猫を救う選択を選んだから犠牲者が出てしまった」という構成になっています。
そのため三鷹アサは「自分の選択は結果として間違っていた」という自責の念に苛まれています。
しかし、そんな苦しみの中にいるアサをユウコの言葉が救います。
アサを救ったユウコのセリフ
結果は間違えても、自分の気持ちが間違えていなければいい
(引用:チェンソーマン/藤本タツキ)
アサに「あなたの選択は正しいのか?」と問われたときに返したユウコの言葉。
「結果は間違えても、自分の気持ちが間違ってなければ私はいいんだ!」
(引用:チェンソーマン/藤本タツキ)
この一言により、アサは自分の選択と向き合い、自分の選択を大切にしていいのだと知りました。
そしてアサは悪魔の囁きにも負けず、自分の選択が無謀なことだと知っていても「自分の気持ち」を大切にすることができました。
【まとめ】作品の持つパワーがすごい
(引用:チェンソーマン/藤本タツキ)
チェンソーマンと三鷹アサの「結果の対比」からも分かるように、同じ選択をして同じ結果を得たとしても褒めてくれる人も批判してくる人もいるというわけです。
では、そんな世界で生きている私たちは何を大切にして選択をすればいいのでしょうか?
それが「自分の気持ち」だと102話では表現されています。
たとえ自分が選んだ選択の結果が納得できないものであっても、他人に批判されたとしても「選択をした自分の気持ち」は変わらないしなくなりません。
それがずっと後悔するような結果だとしても、見つめるべきは「自分の気持ち」なのだと。
そんな強いメッセージ性を感じた102話でした。
作品自身が持つパワーが強いため、非常に説得力のあるメッセージとなっています。
102話はチェンソーマンの登場が衝撃的すぎて話題を全部もっていかれた感があるのですが、前半の構成とメッセージが非常に美しいものとなっていたため、今回記事にしてまとめました。
「結果は間違えても、自分の気持ちが間違ってなければ私はいいんだ!」
このメッセージに救われた人、これから救われる人がたくさんいらっしゃると思いました。
以上です。
読んでくださってありがとうございました!
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