2021年7月19日にて、ジャンプ+で藤本タツキ先生の新作読切「ルックバック」が公開されました。
この記事では、読切「ルックバック」についての考察や感想を書いていきたいと思います。
考察・見どころなど
藤野・京本であわせて藤本
(引用: ルックバック/藤本タツキ)
この作品の主人公である「藤野」「京本」ですが、二人の名前を一文字ずつ取ると、作者の「藤本」となります。
ここから、この物語はフィクションですが藤本タツキ先生の自伝的な部分もあるのではないかと言われています。
Don’t Look Back In Anger
(引用: ルックバック/藤本タツキ)
最初のコマに「Don’t」最後のコマに「In Anger」という言葉が載っています。タイトルの「ルックバック」と合わせると「Don’t Look Back In Anger」となります。
これは実在する楽曲で、オアシスというアーティストが歌っています。世界的に大ヒットした楽曲ですので、名前は知らなかった人でも聞いたことがあるという人は多いのではないでしょうか?
名曲です。
過去作品のシーンが登場
(引用: ルックバック/藤本タツキ)
(引用: チェンソーマン/藤本タツキ)
過去作品に出てきた背景が本作に登場します。一箇所だけでなく、結構でてきています。
担当編集者の林士平さんも登場
(引用: ルックバック/藤本タツキ)
準入選の結果発表のページの右下に担当編集者の林士平さんも登場しています。こういった要素があるとリアリティーが増しますね!
「シャークキック」の名前の由来
(引用: ルックバック/藤本タツキ)
藤野キョウ名義で連載している漫画「シャークキック」
こちらは過去作「ファイアパンチ」「チェンソーマン」の対義語となっています。
- 「チェンソー」⇄「シャーク」
- 「パンチ」⇄「キック」
チェンソーの対義語がシャークなのは、映画「シャークネード」からきているのでしょうか。
ぶっく堂のモデルは出身地のにかほ市にある文林堂書店
(引用: ルックバック/藤本タツキ)
店内にはサインも飾ってある(かなり雑に) pic.twitter.com/hKF7YIrmcF
— 雪材 (@snow114material) July 18, 2021
店内には藤本タツキ先生のサインが飾ってあるそうです。聖地巡礼してみたいですね。
美大のモデルは藤本タツキ先生の母校
(引用: ルックバック/藤本タツキ)
(引用:東北芸術工科大学ホームページより)
モデルとなったのは、藤本タツキ先生の出身校である東北芸術工科大学です。
違う未来を選んでも藤野は漫画家、京本は美大生に
(引用: ルックバック/藤本タツキ)
藤野は京本の葬式のあと、「もしも私があのとき」と考えていました。しかし、もしもの選択をしても藤野は漫画家に、京本は美大生になる未来でした。
京都アニメーションの事件
京都アニメーションの事件が起きて2年後に公開された本作。Don’t Look Back In Angerが隠されていることもあり、京アニの事件への追悼の意味合いがあるように感じられます。
藤野は京本のヒーローだったのでは?
(引用: ルックバック/藤本タツキ)
京本の部屋から藤野の元へ飛んできた一枚の漫画。そこには藤野が京本を助ける内容のものが描かれていました。
もしもの未来でも京本の元へ駆けつけて救っただろうと考えていたことが、藤野と京本の二人の共通認識になっていました。
また、不登校のときも、人が怖くて外に遊びにいけなかったときも、どんなときも、京本の背中を押して新しい世界へ連れていってくれたのは、藤野でした。
京本は本当に藤野の作品が大好きだった
(引用: ルックバック/藤本タツキ)
京本の部屋にあった4コマ漫画の作風が藤野の4コマ漫画の作風に似ています。絵柄や話の構成など。
好きな作品の真似をして、自分でもその作品の漫画を描いたことがある人は分かると思うのですが、本当に好きな作品って真似してしまうんですよね。
この描写から、京本が本当に藤野の作品を愛していたことが分かります。
4コマのタイトルが「背中を見て」
(引用: ルックバック/藤本タツキ)
最後の4コマ漫画のタイトルが「背中を見て」でした。「ルックバック」というタイトルの回収です。
「じゃあ藤野ちゃんはなんで描いているの?」
(引用: ルックバック/藤本タツキ)
京本の葬式に参列したあと、藤野は京本の実家に訪れていました。藤野は真っ暗な部屋で自身が描いた4コマ漫画を見つけます。京本が部屋から出るきっかけとなった漫画です。
それを手に取り藤野は「私のせいだ」と自分を責めます。そしてなんでこんなものを描いてしまったんだ。「描いても何の役にもたたないのに⋯⋯」と呟きます。
今は亡き京本の自室に入った藤野は、京本との会話を思い出します。
「じゃあ藤野ちゃんはなんで描いてるの?」
(引用: ルックバック/藤本タツキ)
そのセリフのあとに、京本が藤野の漫画を手に取り、コロコロと表情を変えていく描写だけのシーンが入ります。
難しい顔をしたり、微笑んだり、眩しいくらいに幸せそうな顔をしたり、鼻水を流しながら泣いたり、腹を抱えて笑い転げたり。
漫画は、確かに農家の皆様のように誰かのお腹を膨らますことはできません。病院で働いている医療従事者のように治療をすることもできません。誤解を恐れずにいうと生きる上では確かに漫画は「何の役にも立たない」かもしれません。
しかし、漫画は誰かを笑わせたり、感動で泣かせたり、誰かの宝物になったりします。大切な存在になれます。
休載していた藤野はそれを思い出し、また漫画家としての道を再び歩み始めるのです。
感想
初めて読んだとき、言葉がでませんでした。代わりに涙がポロポロこぼれました。
すぐに読み返したのですが、やっぱり言葉が出ませんでした。月曜日は仕事だったのですが、本当は休んでずっとこの作品に浸りたかったです。
実はこれを書いている今も、感想が出てこないんです。「すごい」「おもしろい」「感動した」なんて言葉はいくらでも出てくるのですが、自分の中でまだまだ昇華しきれてなくて。
この記事を書いている間にも、新しい発見や、こういう意味で描かれたのかな、なんてこともたくさん見つかって、また読んだら何か見つかる気がして。たぶん僕の知識では分からない表現だってまだまだたくさんあって。
ただ、すごく大切な作品と出会えたなぁとただただ思います。辛いことがあったとき、背中を押してもらえる作品だと思います。
これからも何度も何度もこの作品を読んで、言葉に出来ない感想をずっと噛み締めていくのだと思います。
改めて思ったことは、藤本タツキ先生が描く「好き」という表現が、素朴で温かくて好きだなぁって思いました。
読んでくださってありがとうございました。
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